白蘭の木 香港 京都 しぼんだ結婚生活を切り上げ、父は私を連れて、大叔父さんの家に居候させてもらった。マンションと違ってこぢんまりの中庭が付いてた平屋はとても新鮮で喪失感が暫く紛れ、小学生の私は中庭で植わっている白蘭の木をじっと見ていた。花が…

菊戴 鳥 京都 死亡

京都 きんじ鳥 菊戴 敷居から吊り下げられた繍眼籠をじっと見ていた。青磁色の地面に投げかけた四角い籠の影に羽ばたきのぱさぱさな音が引かれてしまった。おじいちゃんの飼鳥の菊戴は、丁度掌に載せる小っちゃいな体に部屋の隅々まで響き渡る美声を詰め込ん…

野良猫

京都香港野良猫 野良猫 親戚の家に野良猫が一匹居候した。 日が傾くと、窓辺にあった木製の椅子で臥せ、雲の茂る遠い山の真上を見つめていたよう、鱗の浮遊した目に異様な光を放って何とも言えない禍々しい予感が隠れた。 歳を取ったかなあ、動きが鈍くなっ…

猫の影になる娘

猫の影になる娘 恋 香港 京都 道端で一匹の猫と邂逅した。灰色の毛が全身を覆っていながら見る角度によって数え切れない金の針のように光を粲々と放った。猫の目もガラスらしく澄んだり曇ったりして、じっと見つめるとその透明な底に涙を一つ震わせた。不意…

頭が180度回転している虎 京都 香港 あの子から目がなかなか離せない頭を180度くるっと回している虎が、悲しいなぁ・・・って感じ。この何とも言えない執着心の前に屈服しかない

ワニの尻尾

ワニの尻尾 京都 香港 父母は延々と喧嘩したばっかりのせい、おばあちゃんの家に居候させてもらう時期があった。四合院を模った住宅地に中庭で榕樹を左右対称に植え、その陰にどっしりした石のベンチが設置された。隣家のおばさんたちは風呂から上がった後、…

易経 泰 京都 香港 最初はこの絵を描いた時、恍惚でちょっと暗い方向に流され、構図も易経の明夷とぴったりあった。空を仰ぎ見てみると、闇がたなびき、絶えずに大地へ流れ動いて、滅亡に向かうって感じ。画筆を動転して結局いい結果になった。易経の泰に変…

地火名夷

もっと楽しい絵を描きたい、が、ついこんな方向を転換してしまった。未完成だけど。。自分にも驚きましたが、この構図はなんか易経の地火名夷とぴったりあった。名夷は伝説の鳥で光明の代表だが、今のところ、傷ついたり強い辛抱を抱いたりして、光が衰えて…

雨 豆電球 鳥の影 京都 香港 曇った日が続く。雨が降ったりやんだりして気が遠くなるって感じ。白昼なのに灯がつけなければ、本を読めないほどである。天井から吊るしている豆電球が扇風機のぐるぐる回転している風に微かに揺れ、部屋の壁に花葉色の光を塗擦…

身震いするほかない

身震いするほかない 京都 香港 元々説明が大嫌い。何故、最近自分の描いた絵にぐつぐつと述べなければならないか。把握しているように掴まないこと。時々刻々と変わる自分の心。一夜の無慈悲な風雨である。ゆえに煽られて落ちた未熟な葉っぱが路上の一部を青…

泥まみれの感嘆符

死 生 立夏 香港 京都 もう立夏なのにまだまだ肌寒いが、無性に泳ぎたく、朝早々とプールへ足を運んでいる途中、通りを隔てる向かいの小さな公園にちょっと寄り道した。 ひっそりと暗い異空間を思わせるこの普通の普通の公園が、小鳥のさえずりに包まれ、日…

恋文

恋文 京都 香港 ウサギ 今までなかった柔らかい気持ちでこの絵を描いた。 2012年京都で個展を開いた後、もちろん絵を描きつづけたが、描ければ描くほど、迷っていたばっかりだった。自分にガッカリしたり、他人との関係を敢えて遮断したりして、眼下の生…

雨の音 京都 雨が降る音、ザーザーしとしとぼつんぼつんぼたぼた............. 雨が好きな私は、今、どうすればいいのか? 全部、あなたの声のように聞こえる。 香港は、雨が降り続いている。

わけがわからなく

京都 香港 あなた 好き あなたを見つめている瞬間 あなたを好きになる。 せめて挨拶くらいしてくれてもいいのに サヨナラも言わず この場から去っていく私に

土砂降り

京都 香港 父 猫 女 今夜、土砂降り。 雨がザーザー空も溝鼠色に染まって、いきなり湿気に富んでいる音が鳴り響いて、闇の中に雷光が何本の針のように向こうの山々に刺す。 小学校に上がる前、喘息が頻繁に発作した。小さな胸が上下して、古くて壊れ掛けてい…

いつかあなたに逢える

いつかあなたに逢える これを信じるしかない

旅に出る

絵 トカゲ 京都 香港 尋常の家並みにお寺が点在している古き良き雰囲気が気にいるのを理由に、日常の裂け目からすっと脱けて、京都に一人で旅しつづける。この取り返しがつかない時間の流れに、跡形もなく消えてしまう小さな出会いは数え切れないほどだが、…

小さな涙が一つ

小さな涙が一つ サヨナラを言わず、あなたのことなど見向きもしないふり、首を垂れたまま外に出てしまった。 二月の下旬、寒気がまだ猛烈、日暮れの光の中にブルブル身を震わせた。不意に、冷たいしずくが鼻の先にポンと落ち、小雨が降り始めた。 急ぎで三十…

乳房たくさんの女

乳房たくさんの女 絵 貪欲 執着 小鳥 さえずり エッセイ 乳房たくさんの女。最近、よく描いて、その上、はまっているテーマ。ギリシャ神話のArtemisは生育の神様として、人類に崇拝され、多くの乳房とすることを描写されると友人から聞いた話だった。それと…

木洩れ日

春 天使 木洩れ日 翼 あなた 思う 詩 ごく普通の朝。窓を開けて、蝶々一匹、ひらひら飛び込む。そっと腕を伸ばして、木洩れ日が指先で透明な焰のように跳ね上がって、魔訶不思議なステップを踊っている。惜しむようにあなたを優しく静かに思う。

私を迷わせるあの声

声を迷わせる 京都に 天一 詩 京都の滞在期間に、伊勢丹の天一に入って昼過ぎの昼ご飯を食べたくて、不意にここで響きがいい声に遭遇した。 しとしと降り注いでいる雨のような声だった。 チラッと見て、カウンター席でどっしりと構えているサラリーマン風な…